化学物質・有害物

GHS表示|絵表示9種類の意味と容器ラベルの実務運用

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#GHS#ラベル表示#絵表示#ピクトグラム#化学物質管理#JIS Z 7253#安衛法第57条

「ドラム缶に描かれた、あのドクロや炎のマークの意味、全部言えますか?」——化学物質管理者の研修で必ず出る問いだ。GHSの絵表示は9種類しかない。たった9つだが、これを正確に読めるかどうかで、現場の化学物質リスクの捉え方が大きく変わる。本記事では、GHS絵表示9種類の意味、容器ラベルの必須6要素、詰め替え容器の表示、そしてSDSとの関係まで、安衛法第57条に準拠した実務目線で整理する。

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GHSとは — 国際調和された化学品分類・表示システム

GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)とは、化学品の危険有害性を世界共通の基準で分類し、ラベルとSDSによって伝達する制度である。国連が2003年に勧告(通称「パープルブック」)を採択し、各国がそれぞれの法令に取り込んできた。

日本では、JIS Z 7252(GHS分類方法)とJIS Z 7253(GHSに基づくラベル・SDS)が国内規格として整備され、最新版はいずれも2019年改訂版(JIS Z 7252:2019、JIS Z 7253:2019)が使われている。

GHSの目的は明確だ。同じ化学品が国境を越えて流通する以上、「日本ではこのマーク、欧州では別のマーク」では事故が防げない。世界中どこの作業者が見ても同じ意味として伝わる絵表示と、共通のシグナルワード、共通の危険有害性情報(Hコード)——これがGHSの中核である。

GHSの3本柱

GHSは次の3つの要素で構成されている。

要素役割主な記載媒体
分類危険性・有害性を27クラス・区分で評価内部判定資料・SDS項目2
ラベル容器に貼る一目で分かる警告表示容器表面
SDS詳細な技術情報を16項目で網羅文書(PDF等)

ラベルとSDSは「両輪」の関係にある。ラベルは現場の作業者が容器を見た瞬間に危険性を把握するためのもの、SDSは管理者・購買担当者・医療従事者が詳細を確認するためのものだ。SDSの読み方は別記事「SDSの読み方|化学物質安全データシート16項目の実務活用ガイド」で詳述している。

GHS絵表示9種類の意味 — ピクトグラムの全体像

GHSの絵表示(ハザードシンボル、ピクトグラム)は 9種類 ある。赤い菱形の枠に黒のシンボルを描いた統一デザインで、世界共通だ(出典:厚生労働省・職場のあんぜんサイト「GHS分類と表示」)。

シンボル名主な意味対応する危険有害性区分の例
① 炎引火性・可燃性引火性液体、可燃性ガス、自然発火性、自己反応性
② 円上の炎酸化性酸化性ガス、酸化性液体、酸化性固体
③ 爆弾の爆発爆発性爆発物、自己反応性物質(タイプA・B)、有機過酸化物(タイプA・B)
④ ガスボンベ高圧ガス圧縮ガス、液化ガス、深冷液化ガス、溶解ガス
⑤ 腐食性金属腐食性・皮膚腐食性金属腐食性物質、皮膚腐食性区分1、眼に対する重篤な損傷性区分1
⑥ ドクロ急性毒性(重篤)急性毒性(経口・経皮・吸入)区分1〜3
⑦ 感嘆符軽度の健康有害性急性毒性区分4、皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚感作性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分3
⑧ 健康有害性重篤な健康有害性(慢性)発がん性、生殖毒性、生殖細胞変異原性、呼吸器感作性、特定標的臓器毒性(区分1・2)、誤えん有害性
⑨ 環境水生環境有害性水生環境急性有害性区分1、水生環境慢性有害性区分1・2

それぞれを実務目線で深掘りしていく。

① 炎マーク — 引火性・可燃性

最もよく目にする絵表示の一つだ。引火性液体(ガソリン、アルコール、トルエンなど)、可燃性ガス、自然発火性物質、自己発熱性物質、水反応可燃性物質、自己反応性物質に付される。

引火点が低いほど、常温で蒸気が発生して引火しやすい。現場では「炎マーク=火気厳禁」と覚えるだけでなく、SDS項目9で具体的な引火点を確認し、作業温度との関係でリスクを評価する習慣が望ましい。

② 円上の炎 — 酸化性

炎の下に「O」字を思わせる円が描かれている。酸化性ガス(酸素、亜酸化窒素など)、酸化性液体(過酸化水素、硝酸など)、酸化性固体(次亜塩素酸塩、過マンガン酸塩など)に付される。

酸化性物質は単独では燃えないが、可燃物と接触すると激しく燃焼を促進する。「炎マーク」と「円上の炎マーク」を同一棚で保管することは、化学物質管理上の禁忌である。

③ 爆弾の爆発 — 爆発性

ニトログリセリン、TNT、有機過酸化物の一部などに付される。一般的な工場・建設現場で見ることは多くないが、火薬類取締法対象物質や、検査用試薬として少量の有機過酸化物を扱う現場では遭遇しうる。

④ ガスボンベ — 高圧ガス

圧縮された状態で容器に充填されているガス全般に付される。窒素ボンベ、酸素ボンベ、アセチレンボンベ、フロンガス容器など、製造業の現場では極めて頻繁に目にする。爆発・噴出のリスクに加え、内容物次第で他の絵表示(炎・ドクロ等)と併記される。

⑤ 腐食性 — 金属腐食・皮膚腐食

試験管から液体がこぼれ、金属板と手を腐食しているイラストだ。塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、強酸・強アルカリの典型的なマーク。

皮膚に付着すれば化学やけど、眼に入れば失明リスクがある。SDS項目4の応急処置(眼の場合15分以上洗眼など)の手順を、容器設置場所近くに掲示しておくことが推奨される。

⑥ ドクロ — 急性毒性(重篤)

最も警告レベルが高い健康有害性マークだ。少量で死亡または重篤な健康障害を起こす物質に付される。シアン化合物、ヒ素化合物、一部の農薬原体などが該当する。

ドクロマークが付いている物質を取り扱う場合、保護具の選定・換気設備・施錠保管・取扱記録など、特化則・毒劇法レベルの管理が必要になることがほとんどだ。

⑦ 感嘆符 — 軽度の健康有害性

ドクロほど重篤ではないが、健康に影響を与える可能性のある物質に付される。急性毒性区分4(致死量がある程度大きい)、皮膚・眼の刺激、皮膚感作性(アレルギー)、特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分3(気道刺激・麻酔作用)などが対象。

「感嘆符だから軽い」と油断するのは禁物だ。皮膚感作性(区分1)は一度感作されると微量でアレルギー反応を引き起こし、職業性接触皮膚炎の主因になる。

⑧ 健康有害性 — 重篤な慢性影響

人体のシルエットに、胸の部分から放射状の白い破裂模様が描かれている。発がん性、生殖毒性、生殖細胞変異原性、呼吸器感作性(喘息など)、特定標的臓器毒性(区分1・2)、誤えん有害性が対象だ。

ベンゼン、ホルムアルデヒド、結晶質シリカ、一部の有機溶剤などが該当する。長期ばく露で重大な健康障害を起こす物質群であり、特殊健康診断・作業環境測定・ばく露濃度管理の対象になることが多い。

⑨ 環境 — 水生環境有害性

魚と枯れ木が描かれている。水生生物に対する急性または慢性の有害性を持つ物質に付される。重金属化合物、一部の有機溶剤、農薬類などが該当する。

労働者の安全とは直接関係しないように見えるが、漏出時の措置(SDS項目6)や廃棄時の処理(同項目13)に影響する。下水・河川への流出は環境法令違反になり、企業の社会的信用にも直結する。


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容器ラベルの必須6要素 — JIS Z 7253が定める表示項目

GHSに基づく容器ラベル(ラベル要素)は、JIS Z 7253:2019で次の 6要素 を表示することが求められている。

番号要素内容
化学品の名称(製品名)製品の特定名称。混合物の場合は商品名
絵表示(ピクトグラム)該当する9種類のうち、適用される全てのシンボル
注意喚起語「危険」または「警告」のいずれか
危険有害性情報(Hコード対応文)「引火性の高い液体および蒸気」など、危険有害性の内容
注意書き(Pコード対応文)「火気から遠ざけること」など、予防・応急・保管・廃棄の措置
供給者を特定する情報製造者・輸入者・販売者の名称・住所・電話番号

これは安衛法第57条(ラベル表示義務)および同法第57条の2(SDS交付義務)の実装としてJISで規定されている。安衛法第57条はラベル表示の義務を、第57条の2はSDS交付(通知)の義務を定めており、対象物質は両条で異なる規定があるが、いずれも一定の危険有害性を持つ化学物質を譲渡・提供する際に課せられる。

注意喚起語(シグナルワード)は2種類のみ

注意喚起語とは、ラベルにおいて危険有害性の重大性の程度を読み手に伝える語であり、GHSでは「危険(Danger)」と「警告(Warning)」の2種類のみが規定されている。

注意喚起語意味対応する区分の例
危険より高い危険有害性(重篤・致死リスクあり)引火性液体区分1・2、急性毒性区分1〜3、皮膚腐食性区分1、発がん性区分1
警告比較的低い危険有害性引火性液体区分3・4、急性毒性区分4、皮膚刺激性区分2、発がん性区分2

複数の危険有害性区分に該当する場合、最も重大な区分に対応する注意喚起語が表示される(つまり「危険」と「警告」の両方が同時に表示されることはなく、いずれか一方)。

「警告だから大丈夫」という誤解は、現場研修で必ず正しておきたいポイントだ。警告区分でも繰り返しばく露による健康影響は十分にありうる。

危険有害性情報(Hコード)と注意書き(Pコード)

Hコード(Hazard statement、危険有害性情報)は「H225 引火性の高い液体および蒸気」のように、コード番号と本文がセットで定められた標準化文言だ。Pコード(Precautionary statement、注意書き)は「P210 熱・高温のもの・火花・裸火および他の着火源から遠ざけること」のように、予防・応急処置・保管・廃棄の措置を示す。

これらの文言は世界共通のため、海外製の化学品を輸入した際でも、Hコード・Pコードを照合すれば日本語版の対応文言を特定できる(厚労省「GHSモデルラベル」参照)。

安衛法第57条とGHSラベルの関係 — 国内法令の体系

GHSの絵表示・ラベルが国内法令でどう位置付けられているかを整理しておく。

労働安全衛生法 第57条(ラベル表示義務)

労働安全衛生法第57条は、爆発性・引火性・可燃性などの物質や、人の健康に障害を与える物質として政令で定めるもの(安衛法施行令第18条 に列挙)を譲渡または提供する者に、容器・包装にラベル表示することを義務付けている。

ラベル表示義務の対象物質は、SDS交付義務の対象(第57条の2、リスクアセスメント対象物)と完全には一致しない。第57条のラベル表示は安衛法施行令第18条で個別指定された物質(2024年時点で約700物質)が対象、第57条の2のSDS交付は施行令別表第9(リスクアセスメント対象物、約900物質、2026年4月までに約2,900物質に拡大予定)が対象だ。

実務上はラベル表示・SDS交付ともJIS Z 7253に基づく統一フォーマットで実施されるため、両条の対象になる物質では同じGHSラベルがそのまま使われる。

毒物及び劇物取締法(毒劇法)

毒劇法は、毒物・劇物に指定された物質に対して、容器・被包への表示(「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の文字、赤地に白文字または白地に赤文字)を義務付けている(同法第12条)。

GHSラベルと毒劇法表示は両立する。毒劇物に該当する物質を譲渡する場合、GHSラベル(絵表示・注意喚起語・Hコード・Pコード)に加えて、毒劇法に基づく「医薬用外毒物」「医薬用外劇物」の表示も併記する必要がある。

化審法・化管法

化審法(化学物質審査規制法)は化学物質の製造・輸入の事前届出・審査を規定する法律で、容器ラベルそのものの直接的な規定はない。化管法(PRTR法)はSDS交付義務(同法第14条)を定めるが、こちらもラベル表示の直接の義務付けは安衛法第57条が担う。

つまり、容器ラベル表示の根拠法は主に 安衛法第57条と毒劇法第12条、SDS交付の根拠法は 安衛法第57条の2と化管法第14条、という体系で整理できる。

詰め替え容器・小分け容器の表示 — 現場で最も問題になる論点

GHSラベルの実務で最もトラブルが多いのが、詰め替え・小分け容器の表示だ。

詰め替え容器にもラベル表示が必要

工場の現場では、大型ドラム缶や一斗缶から、作業用の小容器(500mLボトル、ポリタンクなど)に化学品を移し替える場面が日常的にある。この詰め替え容器にも、GHSラベル相当の表示が必要になる。

安衛法第57条のラベル表示義務は「譲渡・提供する者」に課せられるため、社内での詰め替えは厳密には同条の直接適用範囲外という解釈もある。しかし、改正安衛則第33条の2(2024年4月施行)では、リスクアセスメント対象物を 事業場内で別の容器に移し替えて保管する 場合に、容器に「化学品の名称」「人体に及ぼす作用」の表示を行うことが求められている。

つまり、社内詰め替えでも「製品名」と「人体への影響(健康有害性の概要)」の最低限の表示は法令上の義務になっている。実務的には、GHSラベルをカラーコピーして詰め替え容器にも貼付する運用が安全だ。

よくある「アウト」な現場の例

化学物質管理者が現場巡視で気付くべき、ラベル表示不備の代表例を挙げる。

状態リスク対応
ペットボトルに化学品を小分け(裸ボトル)飲み物と誤認、誤飲・誤使用ペットボトルへの詰め替えは禁止。専用容器とGHSラベル使用
「シンナー」「アセトン」などの手書きラベルのみ危険有害性情報が伝わらないGHSラベル相当の絵表示・注意喚起語を併記
元のラベルが剥がれかけ・色あせ緊急時に絵表示が読めない早期に再ラベル化、保管環境(直射日光・湿気)の見直し
複数物質を混合した試薬に元容器のラベル危険有害性が実態と異なる混合物として再分類・新規ラベル作成

特にペットボトルへの詰め替えによる誤飲事故は厚生労働省が繰り返し注意喚起している論点で、化学物質管理者が現場研修で必ず取り上げるべきテーマだ。

表示の場所と耐久性

GHSラベルは、容器の 見やすい場所に、消えない方法で 表示することが原則とされている。屋外保管のドラム缶、薬品庫の高所棚など、ラベルが直射日光・薬液・摩耗で劣化する環境では、耐候性ラベル(ラミネート加工、耐溶剤シール等)の採用が望ましい。

GHSとSDSの関係 — ラベルは容器表示、SDSは16項目文書

GHSラベルとSDSは、同じGHS分類結果から派生する「兄弟」のような関係にある。両者の使い分けを整理しておく。

項目GHSラベルSDS
媒体容器に貼付(紙・シール・印刷)文書(PDF・印刷物)
情報量6要素(簡略版)16項目(詳細版)
主な読み手現場作業者(一目で危険把握)化学物質管理者・購買・医療職
用途取扱時の警告・予防リスクアセスメント・教育・応急処置詳細
法的根拠安衛法第57条、JIS Z 7253安衛法第57条の2、化管法第14条、JIS Z 7253
改訂時容器に貼り直し改訂版を入手・配布

ラベルの絵表示と注意喚起語は、SDSの項目2(危険有害性の要約)と連動している。SDS項目2を見れば、その化学品の容器に貼られるべきGHSラベルの内容(ピクトグラム・シグナルワード・Hコード・Pコード)が全て記載されている。

SDSの16項目の詳細は別記事「SDSの読み方|化学物質安全データシート16項目の実務活用ガイド」を参照されたい。

化学物質管理者が押さえるべきラベル運用フロー

2024年4月施行の改正で選任義務化された化学物質管理者(詳細は「化学物質管理者選任の義務化|2024年改正対応と実務の進め方」)の主要業務の一つに「ラベル・SDS管理」がある。具体的な運用フローを示す。

Step 1:購入時のラベル確認

新規購入の化学品が入荷したら、まず容器のGHSラベルが6要素を満たしているかを確認する。絵表示の欠落、注意喚起語の不記載、供給者情報の不明瞭などがあれば、サプライヤーに是正を求める。海外輸入品では日本語版ラベルへの貼り替えが必要なケースもある。

Step 2:管理台帳への登録

製品名・CAS番号(混合物の場合は主要成分)・絵表示・注意喚起語・保管場所・取扱担当を、化学品管理台帳に登録する。GHSラベルの写真を台帳に添付しておくと、後の現場確認で便利だ。

Step 3:保管時の分類

絵表示に応じて保管エリアを分類する。

絵表示推奨される保管条件
防爆エリア、火気厳禁、換気良好な薬品庫
円上の炎(酸化性)可燃物(炎マーク)と分離、専用棚
腐食性耐酸・耐アルカリ材質の棚、漏出時の受け皿
ドクロ施錠保管、取扱記録、専任管理
高圧ガスチェーン固定、転倒防止、屋外可燃ガス置場

混触禁止物質の組合せはSDS項目10で確認し、保管棚の配置に反映させる。

Step 4:詰め替え時のラベル複製

詰め替え・小分け容器には、元容器と同じ絵表示・注意喚起語・製品名・人体への作用を表示する。最低限「製品名」「人体への作用」は安衛則改正で義務化されているため、テンプレートを整備しておくと現場の運用が定着しやすい。

Step 5:作業者教育

絵表示9種類の意味を、作業者全員に教育する。年1回の安全衛生教育で、絵表示の意味と該当する社内化学品の具体例を結びつける研修が効果的だ。

Step 6:現場巡視とフィードバック

化学物質管理者は定期的に現場を巡視し、ラベル不備・容器破損・保管異常を点検する。ただし管理者一人で全現場を巡回するのは現実的でないため、現場作業者からの 匿名報告ルート を整備することが運用上のポイントになる。

よくある質問

Q. GHSラベルの絵表示は何種類あるのか?

絵表示(ピクトグラム)は 9種類 ある。炎、円上の炎、爆弾の爆発、ガスボンベ、腐食性、ドクロ、感嘆符、健康有害性、環境の9つだ。1つの化学品に複数の絵表示が付くこともあり、その場合は該当する危険有害性区分の数だけシンボルを併記する。

Q. 注意喚起語が「警告」の物質は安全か?

そうとは限らない。「警告」は「危険」より相対的に低い危険有害性区分であることを意味するが、ばく露条件・繰り返し回数・個人の感受性によっては健康障害につながる。皮膚感作性(区分1で「警告」)のように、一度感作されると微量で症状が出る物質もある。注意喚起語は最初の目安として捉え、SDSで詳細を確認する習慣が必要だ。

Q. 社内で詰め替えた容器にもGHSラベルを貼る必要があるか?

2024年4月施行の改正安衛則第33条の2により、リスクアセスメント対象物を事業場内で別の容器に移し替えて保管する場合、容器に「化学品の名称」と「人体に及ぼす作用」を表示することが義務付けられている。実務的にはGHSラベル相当の絵表示・注意喚起語も併記する運用が、教育・緊急対応の両面で望ましい。ペットボトル等の飲料容器への詰め替えは絶対に避けるべきだ。

Q. 海外輸入品のラベルが英語表記しかない場合は?

国内で譲渡・提供(社内使用含む)する以上、日本語表記のGHSラベルが必要になる。輸入時にサプライヤーに日本語ラベルの提供を求めるか、自社で日本語版ラベルを作成して貼付する。JIS Z 7253:2019に準拠した記載が必要で、注意喚起語は「危険」「警告」のいずれかを使用する。

Q. GHSラベルとSDSのどちらを優先して整備すべきか?

両方必要だが、優先順位を付けるならSDSを先に整備するのが実務的だ。SDSにはGHS分類結果が項目2に整理されているため、これを元にラベル要素を作成できる。逆にラベルだけ整備してもSDSがなければリスクアセスメントが実施できず、化学物質管理者の業務として不十分になる。

まとめ

GHS表示の実務ポイントを整理しておく。

  • 絵表示は9種類:炎、円上の炎、爆弾、ガスボンベ、腐食性、ドクロ、感嘆符、健康有害性、環境。それぞれの意味を作業者全員に教育する。
  • 注意喚起語は『危険』『警告』の2種類のみ:警告でも油断は禁物。SDSで詳細確認の習慣を。
  • 容器ラベルの必須要素は6つ:化学品名、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、注意書き、供給者情報。
  • 詰め替え容器にも表示義務:2024年改正で安衛則第33条の2が施行。ペットボトル詰め替えは厳禁。
  • ラベル=容器表示、SDS=16項目文書:両者は同じGHS分類から派生する兄弟関係。両方を整備して初めてGHS制度の要件を満たす。
  • 化学物質管理者の主要業務:購入時確認・台帳登録・分類保管・詰め替え複製・教育・巡視のフローを定着させる。

GHSラベルは「貼ってあるだけ」では意味がない。現場の作業者が絵表示を正しく理解し、保管・取扱い・緊急対応に活かして初めて、化学物質の自律的管理が機能する。

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