事故対応・報告

労働者死傷病報告の電子申請|帳票入力支援サービスとe-Govの手順(2025年義務化)

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#労働者死傷病報告#電子申請#帳票入力支援サービス#e-Gov#GビズID#労働基準監督署

労災が発生し、いざ報告しようとして「電子申請が義務になったと聞いたが、どこから入力するのか」で止まる担当者は多い。2025年1月から労働者死傷病報告の電子申請が原則義務化され、報告事項そのものも改正された。本記事では厚生労働省の「帳票入力支援サービス」を使った申請の流れを、事前準備から送信までの順で整理する。

報告書を書く回数そのものを減らすには — 死傷病報告は事故が起きた後の手続きだ。その前段のヒヤリハットを拾えていれば防げた事案は少なくない。安全ポスト+ はQRコードで作業員が匿名報告でき、AIが自動で匿名化して4M(人・機械・材料・方法)に分類する。登録不要で30秒の体験もできる。

なお、様式の選び方や各項目の記入例そのものは「死傷病報告書の記入例と様式ダウンロード」で詳しく扱っている。本記事は「電子申請の操作」に絞る。

電子申請の義務化はいつから・誰に適用されるか

令和7年(2025年)1月1日以降に報告受付となる労働者死傷病報告について、電子申請による報告が義務付けられた。

ここで実務上の勘違いが起きやすいのが適用の基準日である。基準は「災害が発生した日」ではなく「報告を受け付ける日」だ。厚生労働省の資料では、令和6年12月31日以前に発生した労働災害についても、1月1日以降の報告受付分から適用となると明記されている。年末に発生した災害を年明けに報告する場合も、改正後の取扱いになる。

書面が認められる例外(経過措置)

電子申請が困難な場合は、当面の間、書面による申請が認められる。パソコン端末を保有していないなどの事情が想定されている。

ただし「当面の間」の期限は明示されていない。また書面で提出する場合も旧様式は使用できないため、結局は帳票入力支援サービスで入力してから印刷する形が現実的な選択肢になる。自社が例外に該当するか判断が難しい場合は、所轄の労働基準監督署に確認するのが確実だ。

改正された5つの報告事項

電子申請の義務化と同時に、報告事項も改正されている。旧様式では手入力(自由記入)だった箇所がプルダウン選択またはコード入力に変わり、分類の統一が図られた。改正項目は次の5つである。

改正項目変更内容
① 事業の種類日本標準産業分類に基づく細分類コード(4桁)、または大分類から細分類までを選択
② 被災者の職種日本標準職業分類に基づく小分類コード(3桁)、または大分類から小分類までを選択
③ 傷病名及び傷病部位プルダウン選択で対応コードが反映される
④ 災害発生状況及び原因5段構成の記入方法へ変更
⑤ 国籍・地域及び在留資格プルダウン選択で対応コードが反映される

とくに④は、記載方法の問い合わせが多かった「災害発生状況」を原因把握につなげやすくするための変更で、次の5段に分けて書く形式になった。

  1. どのような場所で
  2. どのような作業をしているときに
  3. どのような物又は環境に
  4. どのような不安全な又は有害な状態があって
  5. どのような災害が発生したか

自由記述で「作業中に転落した」と書いていた時代とは、要求される粒度が変わっている。現場から上がってくる一次情報の精度がそのまま報告書の質になる点は、電子化の前後で変わらない。

事前準備 — アカウントの取得が最初の関門

帳票入力支援サービスはe-Govと連携して電子申請を行うため、事前にアカウントを用意しておく必要がある。ここで詰まって申請日が翌日にずれるケースが多いので、災害が起きる前に取得しておきたい。

利用できるログイン手段は次のとおりである。

  • e-Govアカウント
  • GビズID
  • Microsoftアカウント
  • Googleアカウント

GビズIDは、アカウント登録時に設定したメールアドレスにワンタイムパスワードが届く「メールワンタイムパスワード認証方式」と、GビズIDアプリを使う「アプリ認証方式」の2通りで利用できる。すでに他の行政手続でGビズIDを使っている事業場なら、それを流用するのが早い。

担当者が一人しかいない現場ほど、事前取得の効果が大きい。 死亡事故や重篤災害では「遅滞なく」の報告が求められる。その場面でアカウント登録から始めるのは避けたい。

申請の手順 — 帳票入力支援サービスからe-Govへ

Step 1. サービスにアクセスしてログイン

厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」(帳票入力支援サービス、https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/)を開く。

トップには入口が2つある。

  • 帳票作成メニューへ(電子申請を利用しない方はこちら)
  • 帳票作成メニューへ(電子申請を利用する方はこちら)

電子申請する場合は後者を選ぶ。押下するとログイン画面に切り替わるので、前掲のいずれかのアカウントでログインする。

Step 2. 手続き(4日以上か4日未満か)を選ぶ

帳票作成メニューには複数の手続きが並んでいる。労働者死傷病報告は2種類あり、該当するほうを選ぶ。

  • 労働者死傷病報告(死亡及び休業4日以上)
  • 労働者死傷病報告(休業4日未満)

選び分けは次の順で判断する。

  1. 業務上の災害(安衛則第97条に定める労働災害等)か → いいえなら報告不要
  2. 死亡災害か → はいなら「死亡及び休業4日以上」
  3. 休業または休業見込み日数が4日以上か → はいなら「死亡及び休業4日以上」
  4. 休業日数が4日未満か → はいなら「休業4日未満」

ここでいう「安衛則第97条で定める労働災害等」とは、労働災害その他就業中または事業場内もしくはその附属建設物内における負傷・窒息・急性中毒により死亡し、または休業した場合を指す。不休災害(休業なし)や通勤災害は報告不要である。

なお2つの手続きで報告期限が異なる。

休業4日以上(死亡含む)休業4日未満
報告期限死亡し、または休業したとき遅滞なく1〜3月/4〜6月/7〜9月/10〜12月の各期間に発生した災害について、その期間の最後の月の翌月末日まで(例: 4月4日発生 → 7月31日まで)
報告事項で違う項目休業見込期間または死亡日時休業日数(1〜3日)

「報告事項で違う項目」がこの1点だけである、という点は押さえておきたい。休業4日未満だからといって、記載が大幅に簡略化されるわけではない。詳細は「休業4日未満の労働者死傷病報告」で扱う。

Step 3. 申請者情報から入力する

入力画面では、まず申請者情報を入れる。

  • 個人/法人の選択(必須)
  • 法人番号(13桁)— 法人名からの検索、法人番号からの法人名検索が使える
  • 法人名・法人名フリガナ
  • 氏名・氏名フリガナ(必須) — 姓と名の間は1文字空ける
  • 役職
  • 帳票提出労働基準監督署名(必須)

氏名フリガナが未入力のままだとエラーになるため、入力漏れの指摘が画面上部に出た場合はここを確認する。

Step 4. 一時保存を活用する

入力操作中は60分で通信が切断される。労災の報告は事実確認をしながら書き進めることが多く、一気に仕上げられないことも珍しくない。

  • 画面下部の「帳票入力データを保存する」で一時保存できる
  • 再開するときは「ファイルの選択」で保存データを選び、「帳票入力データの読み込み」を押す

過去に保存した入力データを流用すると、事業場情報の再入力が不要になり省力化できる。ただし修正漏れには注意したい。前回の被災者情報や日付が残ったまま送信してしまう事故は、実務でありがちな失敗である。

Step 5. 内容を確認して送信する

入力内容のPDF出力もできる。途中の内容を印刷する場合は、必須項目をすべて入力した後に「申請内容(PDF)を出力する」を押す。入力にエラーがあると画面上部にエラーメッセージが表示される。

添付書類が必要な場合は「ファイルを追加」から添付する。添付できる形式は BMP・DOC・JPEG・JTD・PDF・PNG である。

最後に内容を確認し、e-Gov経由で送信する。電子申請なら郵送費もかからず、労働基準監督署へ出向く手間と時間も削減できる。スマートフォンからも報告できるため、現場や移動中の対応も可能だ。


安全ポスト+ で「5段構成の記載」に耐える一次情報を残す

改正後の災害発生状況欄は「場所・作業・物や環境・不安全な状態・発生した災害」の5段で書く。日頃のヒヤリハットが4M(人・機械・材料・方法)で分類・蓄積されていれば、原因欄と対策欄の記述に説得力が出る。

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つまずきやすいポイント

アカウントがなくて申請日がずれる

最も多い詰まりがこれである。災害が起きてからアカウントを作ろうとすると、認証やアプリ設定で時間を取られる。死亡・重篤災害では第一報の速さが問われるため、平時に取得しておく。

コード入力に慣れず時間がかかる

事業の種類(細分類4桁)や職種(小分類3桁)はコード入力方式になった。プルダウンで大分類から辿れる作りだが、自社の事業の種類・主要職種のコードは事前に調べて社内メモに残しておくと毎回の入力が速くなる。

「4日未満」で出したあとに4日以上になった

発生直後は休業日数が確定しないことがある。見込みで判断してよいが、当初4日未満と見込んで報告した後に実際は4日以上になった場合は、休業4日以上の手続きで改めて報告が必要になる。最初に4日未満で出したから完了、とはならない。

前回データの流用による誤記

一時保存データや過去データの再利用は省力化に有効だが、被災者名・日付・傷病名の修正漏れが起きやすい。送信前にPDF出力して目視確認する運用にしておくと事故が減る。

よくある質問

Q. 電子申請しないと罰則があるのか?

電子申請は原則義務化されたが、電子申請が困難な場合は当面の間、書面による申請が認められている。一方で報告そのものを怠る・虚偽の報告をする行為は「労災かくし」として労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象となる。詳しくは「労災隠しのリスク」で解説している。

Q. スマートフォンだけで報告できるか?

厚生労働省の資料では、スマートフォン・パソコンから報告可能とされている。テレワーク中や現場からの報告も想定されている。ただしコード入力や5段構成の記述量を考えると、実務ではパソコンのほうが入力しやすい。

Q. 提出先の労働基準監督署はどこを選ぶか?

所轄の労働基準監督署である。入力画面で「帳票提出労働基準監督署名」を選択する必須項目がある。建設業で現場が本社と別の管轄にある場合は、災害が発生した事業場(現場)の所轄となる点に注意したい。

Q. 過去の申請内容はあとから確認できるか?

帳票入力支援サービスの「申請案件一覧」で、到達日時の範囲を指定して絞り込める。ただし厚生労働省の資料では、手続きが終了して90日が経過した申請案件は検索できなくなるとされている。受付結果は自社側でも控えを保存しておくのが安全だ。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、所轄の労働基準監督署または社会保険労務士等の専門家にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

まとめ

労働者死傷病報告の電子申請は、次の3点を押さえれば実務は回る。

① 適用は「報告受付日」基準。2025年1月1日以降に受け付けられる報告が対象で、2024年12月以前に発生した災害も含まれる。

② 事前にアカウントを取る。e-Govアカウント・GビズID・Microsoft・Googleのいずれか。災害発生後に慌てて作るのは避けたい。

③ 手続きは2種類、選び分けを間違えない。「死亡及び休業4日以上」は遅滞なく、「休業4日未満」は各四半期の最後の月の翌月末日まで。報告事項の違いは休業見込期間/休業日数の1点だけである。

そして改正後の様式は、災害発生状況を5段構成で書くことを求めている。事故のあとに記憶を頼りに書き起こすより、日頃の気づきが記録として残っている状態をつくるほうが、報告の質も再発防止の実効性も上がる。

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